97号(2020年2月発行)

ECHO身近な相談室
初めての修学旅行で気をつけること

初めての修学旅行で気をつけること

千葉大学大学院医学研究院 小児病態学 日野 もえ子 先生

もうすぐ中学校の修学旅行があります。どんなことに気をつけたらよいでしょうか︖(14歳血友病A患者)

中学生になった君。最近は外来に来ても、小さいころのようにお話ししてくれなくなりましたね。それも君の成⻑なんだろうけど、先生はちょっぴり寂しいです。

修学旅行に行くのですね。もう一人で注射できるようになったのは知っていますよ。でもときどき、お母さんに言われるまで注射を忘れていたり、足が痛くなっても教えてくれないことがあると聞いていますので、少し心配です。そんな君に、修学旅行に行く前に確認しておいてほしいことをまとめました。

出発前に準備しておくこと

旅行中に、定期注射をする日はありますか?1泊2日であれば、定期注射の予定をあらかじめずらして、旅行中は定期注射がないようにしておいてもよいでしょう。しかし定期注射がなくても、もしもの時に使えるように製剤を持っていく必要があります。2泊以上なら、無理せず旅行中に定期注射をしましょう。


修学旅行は、自分の血友病のタイプ・重症度・使っている製剤の種類と量を確認する良い機会です。一人でいるときに切り傷ができた、頭をぶつけた、足が痛いといった症状が出たらどうしたらよいか、家庭で確認しておきましょう。わからなかったら主治医の先生に聞いてください。


旅行先で困ったときに受診できる病院を探しておきましょう。製剤を作っている会社のホームページから、国内の血友病を診ている施設一覧を調べることができます。わからなければ主治医の先生に聞いてみましょう。


君が血友病であることを、学校の先生や友達は知っていますか?学校の先生には知っておいてもらった方がよいと思います。友達にも、「出血したら止まりにくい体質」だということは伝えておくと良いでしょう。
 

修学旅行先での注意点

旅行先のスケジュールを家族と確認して、予備的補充が必要かどうか、話し合っておきましょう。特に関節出血したことがある人は、たくさん歩いたり、いつもと違う運動(登山、海水浴など)をする時には予備的補充をしておくとよいかもしれません。


旅行先で注射をする場合は、いつ・どこで注射をするか先生と相談しておきましょう。朝早く起きて注射するのか、自分の部屋でするのか、先生の部屋でするのか、あらかじめ決めておくと安心です。
 

修学旅行から戻ってから

旅行中の注射がうまくいったかどうか、家族や主治医の先生は心配しています。修学旅行の思い出とともに、出血や痛みがあったかどうかについても、きちんと報告しましょう。


修学旅行をきっかけに、血友病についても学び直すことができましたね。一回り成⻑した姿を先生にも見せてくださいね。

持ち物チェックリスト

  • 凝固因子製剤(季節によっては保冷剤も)
  • 輸注キット
  • 保険証、小児慢性特定疾病医療費助成制度などの受診券
  • 病院連絡先(かかりつけ病院・旅行先の病院)