学校の先生方の心配ごと
- 監修: 医療法人財団 荻窪病院 血液凝固科 部長 鈴木 隆史 先生 臨床心理士 小島 賢一 先生
アンケート調査結果の紹介
血友病の子どもを担当する先生方の不安は、知識を得ることで軽減されます
先生方の不安の声
全国の血友病患者さんの1割以上を診療している東京都杉並区の荻窪病院血液凝固科では、2013年から血友病の子どもを担当する学校の先生方を対象とした勉強会を開催しています。年に1回、夏休み期間を利用して開催し、毎年50〜60名の先生方が参加されています(図1)。
勉強会に際し、参加される先生方に事前アンケートを実施したところ、「血友病の子どもを担当する際に不安に思うこと」として、図2に示すような声が寄せられました。最も多かったのは、「ケガの対処」への不安です。
■図1:先生方の所属と職種(荻窪病院勉強会事前アンケートより)
荻窪病院調べ
荻窪病院調べ
■図2:先生方の不安の声(荻窪病院勉強会事前アンケートより)
荻窪病院調べ
■子どもの成⻑段階によって異なる不安(荻窪病院勉強会事前アンケートより)
担当する子どもの成⻑段階によって不安要素が変化することも示されました。
幼児期・小学生期の不安 | 中学生期・高校生期の不安 |
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知識を得ることで不安が軽減
勉強会参加後には、下表に示すような感想が寄せられ、参加した先生方の約9割が「不安が軽減した」「血友病という病気や対処法について理解できた」と回答しています。
■勉強会参加後の感想(荻窪病院勉強会事後アンケートより)
ケガの対処 | 生活の注意点 |
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Attention
他の子どもやその保護者らに病気の説明をするときは
学校内では常に担当の先生が血友病の子どもだけに注意を向けられるわけではありません。事故が発生しやすいのは授業中よりも休み時間や掃除の時間などが多いこと、欠席や体育の授業の見学中が多いことなどを考えると、周囲の子どもたちに病気への理解があると心強いでしょう。高校生くらいになれば、周囲の友人たちも精神的に大人になって支えてくれるようになります。しかし、特に年少者では配慮ができないこともあるので、同級生に伝える場合は慎重に考える必要があります。本人の状態と気持ちを尊重し、周囲の子どもたちの年齢、理解力、クラスの雰囲気なども考慮した上で、個別に対処するようにしましょう。
もし、本人や保護者が病気のことを周囲に知られたくないと考えている場合、同級生に対しては「体が弱い」「関節を痛めていて足が悪い」「ケガが治りにくい体質」「血が止まりにくい体質」など、簡単な説明をしておくことで対応できることも多いでしょう。一方、子どもたちから断片的な情報だけを伝えられた親が誤解するリスクも生じます。保護者の考え方や信念、本人の気持ちも考慮して、慎重に対応してください。