血友病の治療

補充療法

広島大学病院輸血部 部⾧ 藤井輝久 先生
奈良県立医科大学附属病院小児科 教授 野上恵嗣 先生

血友病の治療は、 不足している凝固因子を注射薬で補う補充療法が基本です

補充療法

 出血時補充療法 

出血したときに、凝固因子製剤を注射する方法です。関節内や筋肉内の出血のように、特に痛みや障害が残るリスクが高い場合、できるだけ早く注射して、血を止める必要があります。補充する凝固因子製剤の量は出血症状により異なります。

出血時補充療法

 定期補充療法 

出血を未然に防ぐために、曜日を決めるなどして定期的に凝固因子製剤を注射する方法です。常にからだの中の凝固因子の濃度を一定以上にしておくことで、出血しにくくなります。

定期補充療法

家庭注射について

凝固因子製剤を、患者さん本人やご家族が病院以外の場所で、医師や看護師の手を借りずに注射する方法です。家庭注射ができるようになると、出血してもすぐに注射ができたり、注射のために週に何度も通院する必要がなくなり、より病気の管理がしやすくなります。ただし、実施する場合は、血友病の知識や注射の手技などについて、十分に学ぶ必要があります。また、習得後も定期的に診察を受ける、家庭で注射した記録を提出するなど守るべきことがあります。

自己注射について

患者さんが自分で凝固因子製剤の注射をすることを「自己注射」といいます。家庭注射と同様に、患者さん本人が病気について十分な知識を持ち、本人が自己注射を望んでいること、本人が注射するとき血管確保が容易であること、手技を習得するために一定期間病院でトレーニングを受けること、医師や看護師の指導内容を理解・実行できることなどの条件を満たせば認められます。修学旅行などをきっかけに、小学校高学年・中学生ごろから始める場合が多くなっています。