こんなときどうする?-治療と生活編-
- 監修: 広島大学病院輸血部 部長 藤井 輝久 先生
奈良県立医科大学附属病院小児科 教授 野上 恵嗣 先生
旅行にいくとき
海外旅行に行くのですが、特に準備が必要なことはありますか?
海外旅行に行く前に、次のような準備をしておくとよいでしょう。
- 渡航先の血友病センターや血友病診療医師がいる病院の連絡先の確認
世界血友病連盟(WFH:World Federation of Hemophilia)のウェブサイトで調べる、または主治医に尋ねましょう。
- 民間の海外旅行保険への加入
海外では日本の健康保険証は使えませんので、全額自己負担となる可能性があります*1。任意で民間の海外旅行保険に加入して、万一の医療費負担に備えておきましょう。
- 凝固因子製剤(製剤)を携行するための準備
空港でのX線検査
空港でのX線検査が製剤の効果に与える影響については明らかではありませんが、遺伝子組換え型製剤は合成後にX線を用いて構造の確認を行っており、X線には比較的安定であると言われています。また、X線検査後の製剤を使用した方からの健康被害の報告はありません。
製剤を航空機内へ持ち込む場合の注意点
原則として、航空機内への液体持ち込み制限がありますが、製剤や溶解液は持ち込むことができます。ただし、検査員に申告する必要がありますので、旅行に行く前に主治医に相談し、下記のような書類を用意してもらうとよいでしょう。
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- 医師の診断書(英語)
- 製剤を常に携帯する必要性などを記載した証明書類(英語)
- 緊急時の対応について記載した書類(英語):カードやメモ形式にして、パスポートや財布に挟んでおくと、いざというときに便利です。
不測の事態に備えて、製剤は少し多めに手荷物として持ち、残りをスーツケースに入れて預けることをお勧めします。
製剤を預け入れ荷物にする場合の注意点
製剤や溶解液が、スーツケースの中で破損しないように、また飛行機の貨物室の温度変化への対策として、製剤を衣類などでくるんでスーツケースに入れると、衣類が緩衝材の役割をするのでよいでしょう。
*1 帰国後、加入している医療保険への申請により一部払い戻しを受けることもできます。詳しくは各医療保険の窓口にご相談ください。