血友病とは

広島大学病院輸血部 部⾧ 藤井輝久 先生
奈良県立医科大学附属病院小児科 教授 野上恵嗣 先生

血友病とは、血液を固める働きをするタンパク質「凝固因子」が生まれつき足りないため、血が止まりにくい病気です

血友病とは

血を止めるしくみ「一次止血」と「二次止血」

何らかの理由で血管が破れると、まず、血液中の「血小板」が破れたところに集まり、その穴をふさぐ塊(血栓)を作ります。これを「一次止血」といいます。
ただし血小板だけでは完全に血が止まらないため、血液中の「血漿」という透明の液体に溶け込んでいる「凝固因子」が血小板に絡みつき、血栓をさらに硬くしてしっかり穴をふさぎます。これが「二次止血」です。

血を止めるしくみ「一次止血」と「二次止血」

「凝固因子」の反応と病型

二次止血のときに働く「凝固因子」は全部で10種類以上あります。これらは、次々とリレー式に反応して、フィブリンという網を形成し、血栓をより強固なものにします。血友病の患者さんでは、このうち一部の凝固因子が足りないためにリレー反応がうまく進まず、血が止まるのに時間がかかってしまいます。
第Ⅷ因子が足りない場合は「血友病A」、第Ⅸ因子が足りない場合は「血友病B」と呼ばれています。

血友病の患者さんは日本に約6,900人1)

世界には79万人以上2)、日本には約6,900人1)の血友病患者さんがいます。血友病A患者さんは約5,700人1)、血友病B患者さんは約1,200人1)で、ほとんどは男性ですが、まれに女性もいます。

  • 1)厚生労働省委託事業「血液凝固異常症全国調査」令和2年度報告書
  • 2)世界血友病連盟(WFH:World Federation of Hemophilia)2019年の報告「REPORT ON THE ANNUAL GLOBAL SURVEY 2019」
約6,900人