血友病患者さんとご家族のための情報誌「ECHO」

ECHO身近な相談室

思春期の患者さんの輸注記録

イラスト

聖マリアンナ医科大学病院 看護部 師長 吉川 喜美枝


輸注記録は何のためにするのでしょうか?(17歳血友病A患者)

注射をして記録を提出するまでが家庭療法

血友病の在宅自己注射療法(家庭療法)は、製剤による早期止血や定期注射による血友病性関節症などの慢性障害の予防を目的として、1983年に国に認可されました。

家庭療法は病院以外で、医師や看護師ではなく、患者さんやそのご家族が医療行為である注射を実施します。家庭での注射を許可するにあたっては、患者さんやそのご家族が病院で、知識や注射手技を習得することなどが必要です。これらの指導を受け、医師の許可を得て初めて、家庭での注射が可能となります。

家庭療法が許可されるためには、もう一つ大切な約束があります。それは輸注記録表をきちんと記入して提出することです。

つまり、医師と約束したとおり注射をして輸注記録を記入し、主治医に提出するまでが家庭療法であり、輸注記録を提出しない患者さんには、製剤を処方しないという厳しい対応の医療機関もあるほどです。診察時には必ず持参しましょう。

輸注記録表は自宅での補充療法の様子が一目でわかるものであり、患者さんも医師や看護師も、どのような時に出血してどのくらいの製剤を使用したか、製剤の量が十分足りているのかなどを振り返り、最適な治療法を見つけるのに役立ちます。

輸注記録表にも色々

輸注記録表は病院が独自に作成したものや、製薬会社が作成したものがあります。

当院での輸注記録表(図1)は日時、体重、製剤名・ロット番号、出血部位や状態、注射の実施者、注射後の効果などを記入でき、2枚複写になっています。1枚は患者さん、もう1枚は病院が保管します。

また最近は、スマートフォンやパソコンで輸注記録を入力できるツールもあります。電子ツールは手軽に使える反面、診察時の確認や医療機関での記録の保存が難しいこともありますが、まずはご自身が使いやすいものを選んで始めてください。

図1.聖マリアンナ医科大学病院 輸注記録表

【図1】聖マリアンナ医科大学病院 輸注記録表

HA DIARY(バイエル薬品発行)

参考:HA DIARY(バイエル薬品発行)

やりたいことをするための注射と記録

家族による注射から自己注射へ移行したら、輸注記録も親まかせにせず、患者さん自身で記入しましょう。

思春期になると、忙しい毎日の中で注射が面倒になり、それにもまして輸注記録表の記入が億劫になりがちですが、輸注記録表は、医師や看護師と患者さんとの信頼関係をつなぐ大切なツールでもあります。注射や治療で困ったこと、悩んだことなど、何でも記入して有効に活用するとよいでしょう。

学業や部活動などで忙しいと思いますが、やりたいことをするために注射も輸注記録も頑張って続けてください。

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お役立ち情報

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