血友病患者さんとご家族のための情報誌「ECHO」

ECHO身近な相談室

学童期の軽症型血友病患者さんのケア

聖マリアンナ医科大学病院 小児科 長江 千愛


息子は軽症型血友病A(第Ⅷ因子活性8%程度)と診断されましたが、今まで通常の生活で大きな出血を起こしたことはありません。小学校に入学するに際し、学校には説明しておいた方がよいでしょうか?また何か注意点はありますか?(6歳血友病A患者の母親)

【1】血友病の重症度と出血頻度

血友病Aの出血回数は患者さん自身が持つ第Ⅷ因子活性値と極めて密接な関係にあり、第Ⅷ因子活性5%以上の軽症型では出血回数は極めて少ないと考えられています。特に、知らないうちに腫れているなどの自然出血はほとんど認められません。ただし、股関節を曲げるときに必要な腸腰筋の出血は、軽症型患者さんにも比較的認められます。サッカーなどのスポーツをしているときに、股関節や下腹部が痛くなり、股関節を曲げたまま伸ばせないようであれば、腸腰筋出血が疑われます。他にも、外傷に伴う出血が止まりにくい、抜歯後の出血が止まりにくい、鼻出血や口腔内粘膜からの出血の止血困難などは軽症型でも認められます。

【2】学校には説明しておいた方がよいか?

お子様が安心して楽しい小学校生活を送ることができるように、学校にはお子様が軽症型血友病Aであることを伝えていただきたいと思います。軽症型であっても、止血困難時には第Ⅷ因子製剤の注射や、デスモプレシンの点滴が必要なこともあります。止血困難時には速やかに最適な治療が受けられるような体制の整備をしておくことは大切です。

血管にわずかに存在する第Ⅷ因子を刺激して血液中に放出させる薬

【3】学校生活における注意点は?

頭部を強く打撲したとき、怪我をしたとき、鼻出血や口の中の出血が止まらないようなことがあれば、すぐに先生(教師)に伝える必要があります。鼻出血など、局所の出血は圧迫止血が有用ですので、適切な圧迫止血が行えるよう練習をしておきましょう。

最近の血液凝固異常症患者さんへのQOL(生活の質)に関するアンケート調査結果1)によると、軽症型血友病の小児では健常男児と比較して、学校行事への参加が強く抑制されており、さらに、重症・中等症型と比較しても学校行事への参加が抑制されていることが分かりました。これは、重症型では定期補充療法が普及したことと、患者さんやご家族への教育、学校側への周知が進み、学校生活における過度の行動制限が少なくなったことを示す結果であると考えられています。

血友病だからと過度の行動制限、運動制限を受けることがないよう、軽症型であること、頭部を強打する可能性のあるスポーツ(水泳の飛び込み、格闘技など)以外であれば体育や学校行事にも参加できることを学校側にきちんと伝えましょう。

【4】学校入学時などの節目にお子さんと一緒に病気について復習しましょう!

学校入学時などの節目にお子さんと一緒に病気について復習しましょう!

軽症型の患者さんは出血の経験が少なく、病気について勉強する機会も少ないのが現状であり、実際に出血したときにどうすればよいか分からずとまどうことも多いようです。ご家族も学校側への説明のためには、病気の管理について勉強しておく必要があります。

小・中学校の入学時などの節目に、親子で血友病の症状、治療、気をつけなけれことはとても大切です。また、出血がなくても、年1回の書類更新時には必ずお子さんを連れて行って診てもらってください。病気について考えるよい機会ですし、血友病の最新治療に関する情報を入手することもできます。


1)
瀧正志ほか:血液凝固異常症のQOLに関する研究・平成26年度調査報告書,2015

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