血友病患者さんとご家族のための情報誌「ECHO」

ECHO身近な相談室

生活の変化に合わせた治療法の見直し

聖マリアンナ医科大学小児科学 特任教授 瀧 正志


子どもは重症型血友病Aで現在10歳になります。4歳から定期補充療法を始め、関節出血はその後ほとんど見られなかったのですが、今年から地域のサッカークラブに入って週末に練習をするようになり、右足首の関節に月に1回くらいの頻度で出血をきたすようになりました。今の治療法のままで良いでしょうか?(10歳の血友病A患者の母親)

このままでは駄目です。今の治療法のまま、サッカーを含めた日常活動を続けると、将来、右足首の関節に障害をきたすようになる危険性が極めて高いと考えられます。どのように対処すればいいか、具体的にご紹介しましょう。

【1】右足首の関節の状態を正しく評価しましょう

まず1つ目は、現時点での右足首の関節の正しい評価を行うことです。

腫れ

出血した時だけでなく慢性的に腫れや痛みはありませんか?腫れの評価は、反対の左足首の関節と比較すると分かりやすいです。

可動域(関節を動かせる範囲)

可動域に制限はありませんか?これも反対の左足首の関節と比較すると分かりやすいです。

画像検査

関節障害が発症していても初期の変化は単純レントゲン写真では発見できないこともあります。主治医または主治医から整形外科に依頼してもらい、MRI、超音波検査などの関節障害の初期変化を鋭敏に捉える検査を行い、正確な関節の評価をしてもらいましょう。診断結果によっては、リハビリテーションや手術などの治療を要することもあります。

【2】定期補充療法の見直しを考えましょう

2つ目は、定期補充療法の方法の見直しを患者さん本人、ご家族、主治医を含めた医療関係者と一緒に考えることです。また、サッカークラブの活動を今後どうするのか、継続するのか、一時的に中断する必要があるのか、などに関しても同様に話し合う必要があります。

アドヒアランスの確認

主治医から指示された輸注方法を遵守できていますか?

輸注記録表の確認

右足首の関節出血はいつ起こっているのかを輸注記録表で確認しましょう。週末に集中しているならサッカーとの因果関係を考えて対応する必要があります。

定期補充療法の見直しに関しては、例えば、週末の活動性が少ない幼稚園児や小学校低学年の児童では月曜日、水曜日、金曜日の週に3回輸注する方法が多く行われます。これまでがこのような輸注方法であったなら、 ①輸注する曜日をサッカーの練習日の週末に合わせて火曜日、木曜日、土曜日にする方法、 ②従来同様の月曜日、水曜日、金曜日に、土曜日あるいは日曜日の輸注を追加し、週4回にする方法、 ③1日おきに輸注する方法、などへの変更が有効なこともあります。また、輸注された凝固因子の体内での動きを調べて、投与量の調整が必要になることもあります。

(図)活動性に合わせた輸注方法変更の一例

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