サイトロゴ

バイエル薬品株式会社

  • 文字の大きさ
  • 小
  • 中
  • 大

血友病患者さんとご家族のための情報誌「ECHO」

血友病のそこが知りたい C型肝炎治療に関する最近の話題

東京大学医学部附属病院 感染症内科 四柳 宏


イラスト

C型肝炎の治療には最近大きな変化がおきています。そこで今回はその診断・治療におけるトピックスを紹介します。

成人血友病患者さんの多くがC型肝炎ウイルスに感染しています。

血液凝固異常症患者さんの疫学調査報告1)によると、1980年代以前に生まれた日本の血友病患者さんのC型肝炎ウイルス(HCV)感染率は70%以上(HIV感染合併者の場合は90%以上)とのことで、成人血友病患者さんの多くが感染しておられます。

HCVに感染しているかどうかの検査(抗体検査)が行えるようになったのは1990年代に入ってからですが、HCVを含まない凝固因子製剤が広く使用され始めたのは、HCV検査の感度・精度が改善された1993年以降のことです。従って1993年以前に凝固因子製剤を使ったことのある患者さんはHCVの検査を受ける必要があります。

C型肝炎の治療は生命予後を改善させます。

C型慢性肝炎は治療せずに放置しておくと徐々に進行し、肝硬変や肝がんを引き起こす場合があります。海外からの報告では、血友病の患者さんが輸血によりHCVに感染した場合、10%から40%が肝硬変・肝細胞がんに進展するという成績が示されています2)。ウイルスが自然に排除された場合、あるいは治療により排除された場合は予後が改善することも最近になり明らかにされました3)

肝生検は不要です。

以前は慢性肝炎の治療を行うためには、肝臓の組織の一部を取り出して検査する肝生検が必須とされましたが、血友病の患者さんの場合、難しいのが実態でした。最近は血液を用いた判定方法(APRI,Fib-4Index)や超音波を用いた肝硬度の測定(Fibroscan, ARFI)が可能になり、肝臓の線維化の推定が可能になりました。

線維化:炎症・破壊を起こした肝臓が修復される際にカサブタのような線維が沈着します。炎症・破壊の期間や程度に応じて線維の沈着度が異なります。

インターフェロンを使わない新しい飲み薬の登場で治療の選択肢が拡がりました。

治療薬については、2014年夏まではHCVを排除するためにはインターフェロンを使う必要がありました。インターフェロンは私たちがインフルエンザなどウイルスに感染した際などに、体の中で産生され、ウイルスの増加を妨げる物質ですが、同時に発熱・頭痛・下痢などの症状を引き起こすことが知られています。インターフェロン療法とは、C型肝炎の患者さんに、インターフェロンをお薬として注射することにより、HCVの増加を直接抑えると同時に、免疫力を高めて間接的にもHCVの増加を抑える治療法です(図1)

図1 C型慢性肝炎に対する抗ウイルス療法

図1 C型慢性肝炎に対する抗ウイルス療法

2014年秋から2015年にかけては、新しいタイプのHCVに直接作用するお薬「直接作用型抗ウイルス薬」(図1)が登場し、インターフェロンを使わない飲み薬だけの抗HCV療法も可能になりました。現在はまだHCVの遺伝子型が1型または2型の患者さんにしか適応がありませんが、他の遺伝子型の患者さんについても適応追加に向けての臨床試験が行われる予定です(図2)

図2 C型慢性肝炎に対する主な治療法

図2 C型慢性肝炎に対する主な治療法

このように新しいタイプの薬の登場により、治療の選択肢、適応が拡がり、最近では飲み薬だけでも高い治療効果を目指せるようになりました。

これまで、様々な理由により、従来の方法で治療できなかったり、治療を受けたもののウイルスを排除することができなかった患者さんが数多くおられます。その多くの方が新しい抗ウイルス薬によりウイルスを排除できることが期待されます。まずは主治医にご相談ください。

結びに

C型肝炎治療は、診断技術と治療薬の進歩により、より高い安全性・より確実な効果が期待できるようになりました。そのためには、患者さん・血友病専門医・肝臓専門医・コメディカルの人たちがお互いに情報を分かち合いつつ、治療を進めることが大切です。C型肝炎の診断・治療について、少しでも心配や聞いてみたいことがある方は、ぜひ一度主治医におたずねください。


1)
立浪忍: 血友病の疫学, みんなに役立つ血友病の基礎と臨床. 2012; pp29-36.
2)
Posthouwer D ほか: Blood. 2007; 109: 3667-3671.
3)
Fransen van de Putte DE ほか: J Hepatol. 2014; 60: 39-45.

お役立ち情報

  • 血友病輸注記録アプリFactorTrack
  • 血友病関節ビジュアライザー
  • 血友病患者さんのための情報誌「エコー」
  • かた丸くん忍法ナビ
  • ECHOミュージアム