学校の先生方へ

血友病の子どもたちを担当される先生方へ

アンケート調査結果

血友病患者さんの学校生活に関して、様々な調査が行われています。
ここでは、その結果をもとに血友病患者さんの学校生活についてみていきます。

出血について

学校で何か事故はありましたか。

先生方や保護者の方が最初に気にするのはやはり出血です。実際には事故を経験するのは1/4程度、それも休み時間に遊んでいる時が最も多く、体育を含め授業中は意外なほど少ないものです。ちなみに、学齢期の子が常時多数が通院している当院でも、学校に救急車を呼ぶほどの事故は聞いたことがありません。血友病だから、救急車を呼ばなくてはならないという事態はないと考えてよいでしょう。万一、そのような場面に遭遇した場合は、救急隊の人に血友病であることを伝え、指定医療機関に電話してもらってください。

出血した時、どうしましたか。

学校で出血時にどう対処したかを調べた結果です。2割は学校が終わるまで我慢すると回答していますが、7割は直ちに輸注をしています。2割の直ちに輸注できない子どもたちについては、学校に病気のことを言っていない、製剤が学校に置いていない、自分で注射できないといったことが理由になっています。迅速に措置した方がいいのは、言うまでもありません。迅速に輸注するためには、以下のいずれかの条件が必要になります。

  1. 自分で輸注ができ、かつ製剤が学校にある。または自宅まですぐに帰宅できる。
  2. 直ちに、保護者が製剤を輸注しに、学校に来ることができる。
  3. 製剤を持って、保護者または医師の所に早く連れて行くことができる。

学校生活について

体調不良・通院などで学校多く休みますか。

以前は出血により休みがちだった子どももいましたが、現在では血友病によって出席できなくなる例は、多くありません。唯一の例外はインヒビターといって、製剤が効かなくなる阻害物質が体内で作られる場合です。学齢期の子どもからの発症はまれな症例となりますが、インヒビターが発生した場合には、やはり他の血友病の子より欠席が多くなりがちです。現在はバイパス製剤という薬を使用して止血することも可能になり、長期欠席することなく、元気に通学しています。

病名を伝えていますか。

過去においては薬害などもあり、病名を学校にも伝えなかった保護者が多く見受けられました。成人を含め、学校時代に病名を告知したかについて2000年と2009年に行われたアンケートの回答を見ると、以前と比べて最近では病名を開示される方が増え、ほぼ全員の方が学校に伝えていることが分かります。ただし、注意していただきたいのは、教師に伝えることと生徒に伝えていることとは別です。

本人や保護者の方の病気に対する考え方や症状の重さは様々です。なかには製剤を使わなくてよいほどの軽い症状の子どももいます。また、周りの生徒に伝えるにしても、発達段階に応じた説明の仕方を工夫する必要があるでしょう。実は先生方が血友病の生徒さんを担当されて、一番困惑したのは、この部分であったようです。体育を休むのをどう伝えるのか、一部行事の参加の仕方が違うことをどう説明するのか、保護者の方と相談をしてください。どうしても良い知恵が出ないときは、専門医療機関のスタッフもアドバイスしてくれますので、連絡をしてください。

血友病の子どもを担当した先生のご意見

血友病の子どもに対する意見をお聞かせください

  • みんなと同じ大切な命をいただいて生まれてきたあなたです。他のお友だちもそれぞれやってはいけないこと・やれないことがあるのですから、生活にちょっとだけ制限があるのもやっぱりみんなと同じです。力強く過ごしてください。
  • 普通の子どもと全く同じように活動させることができるということがわかりました。自分の生き方に自ら限界をつくることなく、のびのびと生き抜いていってほしいです。
  • 病気に対してもっと自覚してほしい。
  • 本人が意識しようがしまいが、周囲の人々(クラス・クラブ・教員)に良い意味で大きな影響を与えていると思う。

1年間担当してみて血友病をどのように思いますか

  • 実際にはほとんど問題はなかった。
  • 予想ほどでもなかった。
  • 病気をきちんと理解し、学校と家庭がこまめに連絡をとりあえば、何も心配することはないと思いました。
  • 実際に転びやすく、すぐに出血し、少しぶつけても内出血してしまうので、他の子ども以上に気をつけなくてはならないことが多く神経を使いました。しかし、その他のことに関しては何も変わらず、一般の子どもといっしょに集団生活を明るくのびのびと経験しました。
  • 通常の状態で日常生活を送るには全く支障のない病気だと思いました。ただ万一のため(特に頭部打撲など)の注意は怠らないようにしないといけないと思っています。
  • 以前より血友病に対して理解できるようになった。一般社会の人に正しい知識を持ってもらえるような働きかけをどこかでしたいと思った。

十分な情報と知識があり、家庭や病院と相互協力すれば解決できることが多いと考えられます。(著者)

患者会で聞かれた幼稚園・保育園・学校の話題

血友病の患者会で、保護者の方から伺った率直なご意見です。

  • 病気があるから、年中から入園させようと思ったのですが、他のお母さんに励まされて、年少から入園させました。今は全く問題なく通っています。むしろ早く入れてよかったと思っています。
  • 第一志望の幼稚園に断られたときは、そもそも幼稚園に入れてもらえないのかととても落ち込みました。でも、今通っているところは先生方も話を聞いてくれて、血友病について勉強してくれて受け入れてくれました。
  • 同じ病院に、血友病の方は3家族しか通っておらず、私のところ以外は大人の患者さんだけでした。お医者さんに聞いても、学校のことはわからないと言われて途方にくれていました。そんなとき、なんと入学する小学校の先生が、インターネットを使って、この冊子(第2版)などの資料を入手し、先に勉強してくれて、「一緒にやっていきましょう」と言ってくれました。言葉にならないくらい嬉しく思いました。
  • 基本は連絡帳です。保護者もきちんと本人の体調を書き、先生にも学校での気になることを書いていただいています。入学したころは、とにかく、お互い気になることもあって、たくさんやりとりをしました。そのうちにコツがわかって、自然に連絡することも減ってきました。
  • 以前、血友病の生徒を担任したことがあるという先生が、当時の苦労からか、最初は養護学校!?を勧められました。現在の治療法の進歩や、子どもの元気さをわかってもらうのに、逆に大変でした。今では、昔との違いに驚かれています。
  • やはり武道必修が気になります。少し前まで、血友病患者に武道は厳禁だったはずです。せっかく、今まで関節を悪 くしないで過ごすことができたのに、けがをして悪くしたらと思うと、武道の授業が恐ろしいです。ただ、子どもは一緒にやりたがっていますし、ほかの保護者の話でもやらせているようです。こうして親も成長していくのですね。