学校の先生方へ

血友病の子どもたちを担当される先生方へ

製剤

注意:
自己注射をされる患者さんは、医師または看護師による教育を受ける必要があります。 製剤ごとに溶解方法が異なります。詳しい溶解方法は各製剤の溶解説明書を確認してください。

溶解液が注射器に入った製剤

製剤ビン

製剤ビン

溶解液(注射器)

溶解液(注射器)

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説明1

製剤ビンと注射器のキャップをはずし、両者を繋げて製剤を溶解します。

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説明2

製剤ビンから薬液を注射器に移します。

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説明3

注射器を製剤ビンからはずし、翼状針を接続します。

溶解用デバイスを使う製剤

薬剤バイアル

製剤ビン

注射用水バイアル

溶解液(注射器)

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説明1

薬剤バイアルと注射用水バイアルを溶解用デバイスで繋げ、製剤を溶解します。

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説明2

バイアルを上下にひっくり返し、注射器の内筒を引き、薬液を移行させます。

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説明3

注射器を溶解用デバイスからはずし、翼状針を接続します。

注意事項イメージ

ゆっくり1〜2分かけて注射する。

投与量のめやす

出血の程度や投与時期によって必要量は異なりますが、応急処置のおおまかな投与量(製剤の投与単位)を示します。出血が生じた場合には製剤投与が早ければ早いほど軽くすみ、回復も早くなります。1本の中に250単位、500単位、1,000単位、2,000単位含まれている製剤があります。

注)
個人差、各製剤の効果の差があるので、下表の投与量は目安となります。
出血の部位 出血の程度 投与量(単位) 医師への
連絡
血友病A
体重:20kg
血友病A
体重:50kg
血友病B
体重:20kg
血友病B
体重:50kg
関節内出血 早く発見したとき 500 1000 1000 2000  
重症出血
(腫脹・痛みが
強いとき)
1000 2000 2000 4000
筋肉内出血 早く発見したとき 500 1000 1000 2000  
重症出血
(腫脹・痛みが
強いとき)
1000 2000 2000 4000
腸腰筋出血   1000 2000 2000 4000
口腔内出血 局所処置にて
止血できない場合
500 1000 1000 2000  
舌や舌小体
口唇小体の出血
口唇裂傷による出血
500 1000 1000 2000
皮下出血 軽度 投与なしで様子をみる  
大きな血腫や頚部、
顔面の血腫の発現時
500 1000 1000 2000
鼻出血 軽度 投与なしで様子をみる  
止血が確認
できない場合
500 1000 1000 2000
肉眼的血尿 軽度の場合 投与なしで様子をみる  
改善しない場合 250 500 500 1000  
疼痛を伴う場合や
血尿が遷延する場合
500 1000 1000 2000
外傷 ごく軽微な切創 500 1000 1000 2000  
重度 1000 2000 2000 4000
骨折 1000 2000 2000 4000
頭蓋内出血 1000 2500 2000 5000
トラネキサム酸を服用してはいけない
  • ◎:至急必要 
  • ○:必ず必要 
  • △:場合によって必要

日本血栓止血学会学術標準化委員会血友病部会「インヒビターのない血友病患者の急性出血、処置・手術における凝固因子補充療法のガイドライン」より一部改変

効果の出始めと持続

製剤投与後10分で血中濃度は最高に達し、止血効果が得られます。血中濃度は平均で約14時間(血友病Bでは約20時間)後に半分になり、効果がさらに続きます。そのため、学校での応急処置としての製剤投与は1回で十分です。

凝固因子製剤

(多くの種類がありますが、製造方法で大きく2種類に分かれます)

●ヒトの血漿から精製した製剤
(ヒト血漿由来製剤)

●遺伝子工学により生産した製剤
(遺伝子組換え製剤)

保管

学校での出血や災害時に備えて、学校に1本製剤を保管しておくと安心です。
製剤は凍結を避けて、可能ならば冷蔵庫・保冷箱に保管してください。やむを得ない場合は涼しい部屋で保管すればまず問題ありませんが、直射日光のあたるような暑い場所だけは避けてください。最近の製剤は室温でも6ヵ月程度は安定ですので、短期間の移動や保管は室温でも大丈夫です。

注意

  • 使用期間は製剤によって約2〜3年で、使用期限は製剤瓶や製剤箱に記載されています。
  • 学年ごとに確認して、使用期限の前に余裕を持って交換をお願いしましょう。

保管

保管

吐き気や頭痛などを訴えた場合、製剤の副作用も考えられるのでしょうか?

以前の血液製剤は純度が低く、注射直後に頭痛や吐き気が起きることもありましたが、現在の薬はこうした症状を起こすことはほとんどありません。製剤の副作用を考えるより、むしろ風邪、打撲や食中毒などを疑う方が良いでしょう。

感染症の心配って本当にないのでしょうか?

1985年からは製剤が加熱処理されたため、その後はエイズの原因であるヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染した血友病の患者さんは一人もいません。その後もC型肝炎などの感染症への対策も十分取られています。薬害問題が騒がれた後遺症で、一部に「血友病=エイズ」のような誤解が残っていますが、現在の新入生に、製剤による感染症の心配は全くありません。ただ、エイズに限らず、常識的知識として他人の血液には直接触れないような衛生指導は必要でしょうし、最近、性感染症が少しずつ広がっていることを考えると、一般的な感染症予防策としての思春期における性教育も現代社会では不可欠です。