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血友病患者さんとご家族のための情報誌「ECHO」

血友病のそこが知りたい
生活の中で使えるリハビリ術

イラスト


琉球大学医学部附属病院 リハビリテーション部 外間 明海

1. リハビリテーションとは?

リハビリテーション(以下、リハビリ)は、日常生活動作に不自由を感じないようにする、もしくは自身にとってよりよい状態に近づけるようにするための相互的な取り組みです。リハビリの1つとして理学療法があります。理学療法とは、身体能力や運動機能の維持・改善を目的に、個人の状態に合わせて運動や体操、物理的手段(アイシングや低周波治療器、装具など)を理学療法士と一緒になって選択しサポートする治療法です。

2. 血友病患者さんにおける運動療法の重要性

血友病患者さんのリハビリの臨床において最も課題となるのは関節内出血です。関節内出血が起こると関節の中にある滑膜と軟骨に悪影響を及ぼし、出血を繰り返すと、関節内で炎症が起き、やがて変形性関節症を引き起こします。出血時の治療は凝固因子製剤を注射し、腫れや痛みが治まるまで安静が基本となりますが、過度の安静は関節だけでなく身体的に悪循環を招き、生活の質(QOL)を低下させるとも言われています。

「運動をすると関節内出血が起きるのでは」と心配されるかもしれませんが、適度な運動により関節を支える筋肉を鍛えると関節内出血は起こりにくくなります。さらに、運動により体力や身体のバランス、筋力を維持することは転倒、肥満の予防にもなり、怪我や関節の負担を減らすことに繋がります。

また、出血後の適切な時期に関節機能を保つために運動を行うことで関節症の悪化を軽減・予防することができます。まずはご本人が出血前の状態に戻すよう意識することが必要です。

このように、関節症や生活習慣病を防ぐために適切な時期に、患者さん個々に合った適切な運動を行うことが重要なのです。

3. 運動療法と日常生活リハビリテーション

1) 運動療法って何?

運動療法には、主に関節の動きを保つストレッチを含めた「関節可動域運動」や関節への負担を減らす「筋力運動」があります。運動障害がある場合は、運動することにより機能改善あるいは機能維持を図ります。

2) 日常生活でのリハビリテーション

病院で行う厳しい訓練や運動だけがリハビリではありません。推奨されるスポーツや体育の授業などへの参加、日常生活で行う着替えや家事の動作なども広い意味で「生活リハビリ」と考えられています。

普段は座ってはいていたズボン、靴下や靴の着脱を立ったまま行うことも生活の中で取り入れられる運動となります。片脚で立つことに不安があれば、壁にもたれて動作を行ってみるのもよいでしょう。片脚立ちがうまくできない場合は、両脚立ちの姿勢で上着を着てみるのもよいでしょう。身体の状態に合わせて、時間に余裕があるときや身体の調子がよいときに普段とは少し違う動作や運動に挑戦してみてください。新しい挑戦のときは、近くにご家族などがいると安心です。ご自身のペースで、楽しく続けられる工夫をすることが機能維持の近道です。

また、運動療法や生活上でリハビリを取り入れる前に、まずはご自身の身体の状態(左右の関節や筋肉の太さ)を確認しておきましょう。「頻繁に痛みや腫れがある部位はどこか?」「筋肉の突っ張りの有無は?」「どのようなときに症状が出やすいか?」などを、できれば帰宅後や入浴後に毎日確認することをお勧めします。特に、「いつもより長く歩いた」「スポーツや作業などをたくさん行った」など、普段と違うことをした日は、時間をかけて十分に状態を確認しましょう。確認ができたら、体操やストレッチを行っておくと、翌日まで不具合を持ち越さずにすみます。ご家庭でできる運動として、ラジオ体操や日本整形外科学会で推奨されている「ロコトレ」(図)もお勧めです。ご自身の生活スタイルに応じて、運動する日と状態確認程度だけの日などメリハリをつけるのも長く続けるコツだと思います。

ロコトレ(ロコモーショントレーニング)

図 ロコトレ(ロコモーショントレーニング)

ロコトレには他にもいくつかの運動があります。興味のある方は下記URLの公式サイトにてご覧ください。

日本整形外科学会公認 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト

3) 勝手にやり過ぎは禁!

患者さんごとに推奨される運動の内容や程度は異なります。いくら身体によくても、運動療法を勝手に始めたり、やり過ぎたりすると関節内出血のリスクが高まることがありますので、必ず主治医や理学療法士に相談しながら始めましょう。

また、運動をしていて、関節や筋肉に違和感や痛みなどを感じる場合は、出血を起こしている可能性がありますので、運動を中止して主治医にご相談ください。十分に注意しながら、無理なく続けることが大切です。メンテナンスという意味で、整形外科医に関節の状態を定期的に診てもらうこともお勧めします。

L.JP.MKT.OH.07.2017.2303

お役立ち情報

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  • 血友病患者さんのための情報誌「エコー」
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